手持ちの中古のウエブカムと Raspberry Pi で、30分で遠隔監視を手作りする方法

なぜ手作りなのか


遠隔監視は難しい技術ではないのですが設置や運営などを委託するとどうしても高くついてしまい予算との兼ね合いでコスト的に実現不可能になってしまうことがよくあります

遠隔監視を始めてから犯罪被害等のトラブルが激減し、皆でよろこんでいたのに運営費用を賄うことができず中止になった、という話を伺い残念に思ったこともあります

冒頭で申しましたとおり遠隔監視は難しい技術ではないので、設置や運営を人に頼らなくても実は御自身で簡単に実現することができます

Raspberry Pi と中古のウエブカムで30分で遠隔監視を始める

Raspberry Pi は通販で 3,000円ぐらいで購入することができる 小型のボード・コンピューターです。いろいろなモデルがありますが、監視カメラとして使うのに高性能である必要はないので安い B+ か A+ で十分です。A+ はUSB ポートが一つしかないので、別途 USB ハブが必要になります。世の中でかなり流行っているので、もしかしたら新しい物好きの知人がすでに購入して、飽きて使っていないものを頼めば一枚もらえるかもしれません

ウエブカムは SKYPE をしたりするのに使う、パソコンに USB でつなげて使うカメラです。カメラの性能は年々よくなっているのですが、現場の監視に使うカメラに高性能は不要なのでもう何年も使っていないような古いウエブカムで十分です
新品を購入する場合でも、売っている一番安いもので十分ですし、eBay で2$ぐらいで売っているオモチャのカメラみたいなウエブカムでも立派に使えます



サーバを使った静止画ベースの遠隔監視

遠隔監視にはいろいろな方法があって、なにをどのようにやりたいのかに合わせて適切な方法を選びます
ここではサーバを使った静止画ベースの遠隔監視を利用しますが、あまり一般的な方法ではないのでなぜこの方法を利用するのかを各種方法の得失を比較して検討します
結論から言えば、これが一番「安くて安全で幅広くつかえる」からなのですが、ご興味がなければ読み飛ばしていただいても問題ありません

1. サーバを使わない、動画ベースの遠隔監視

監視カメラや見守りカメラと呼ばれる製品でもっとも一般的なのがこの方法です。数千円程度の安価な製品も多く、固定の定額制のネットワークが使える場所に設置するのであれば(この環境での利用がほぼ必須となりますが、3Gネットワーク環境下で利用する方法を Raspberry Pi で構築する手段もあります)サーバをつかわないので月々の運用費用も無料です。スマフォのアプリが付属している事が多く、手軽な見守が可能なので広く普及しています

ただし、以下の欠点があります

1. 固定の定額制のネットワークが利用できる場所にしか設置できない
事実上、自分の家の周りにしか設置することができず、離れた場所の監視ができないので、自分が見に行くことができる場所の、自分が不在の場合の監視の手段にしかなりません
少し離れた畑や倉庫や畜舎、河川、山林、道路、商店街の状況等、自分が見に行けない場所の監視にはつかえません
また、お客様に納品した装置の稼働状況の監視のために「すみません、ネットワークを使わせてください」とお願いすることも現実的には不可能だと思います、後述するセキュリティの問題もあります。ましてや、海外に設置した施設の監視にこの方法を使うのはほぼ無理でしょう

2. セキュリティの弱点を作る
この方法による製品で多くの事故が起きていて、世界中で第三者から覗かれている現状があり、セキュリティ・カメラどころかセキュリティーホール・カメラになっているという笑えない現状があります。この手のカメラの URL の一覧(紹介しませんが)を見ていると怖くなります
原因は簡単で、この種のサーバを利用しないタイプのセキュリティ・カメラはサーバを利用していないのではなく、実は「カメラ内部にサーバを組み込んで」いるだけで、外のネットワークからカメラ内部のサーバに接続させる事で利用しています
つまり、世界中の誰もがそのカメラまでは入ってこれる状態になっていますし、悪いことにそのカメラが乗っ取られてしまうとさらに家の中のネットワークの中の、本来であれば防火壁で守られていた筈の PC まで乗っ取られてしまう可能性があります
もちろん、外部にサーバーがある方式と同じで、パスワードやIPアドレス制限等でしっかりとガードしてあり、アクセスログなどで侵入監視がしてあれば問題はないのですが、この種の製品ではこれが購入者個人に任されてしまっていることで問題を生じやすくさせてしまっています

3. 多人数での監視が不可能
さきほど述べたとおり、カメラ内部の小規模なサーバーを使って負荷の高い映像を配信するので、本質的に多くの PC に同時に配信する性能がありません。多くの製品が接続数を1人に限定しているので、多人数での同時監視ができません

2. サーバを使った、動画ベースの遠隔監視

動画ベースの遠隔監視でも、間に専門のサーバが入ることで前述のセキュリティの問題と多人数での同時監視の問題が解決します
3Gネットワーク環境下での利用をサポートしている商品もあり、監視場所の幅も広いです

しかし、個人でこのサーバを運用するにはかなりの専門知識と経験が必要となるので、一般には業者への依頼が必要となるのですが安価にはすまないので、100円程度の作物や商品を守るために月々に何万円もの出費が必要となるような、見守った結果として見守らなかった時よりも損をするような笑えない結果になってしまうこともあります

3. サーバを使った、静止画ベースの遠隔監視

カメラを一定時間間隔で画像を撮影して決められたサーバの決められた場所に投稿するようにセットしておけば、いつでもブラウザで最新の画像をみることができます
カメラはサーバに映像を送信するだけで、逆にネットワーク側から防火壁を越えてカメラにアクセスする手段が存在しない一方通行なのでセキュリティの問題をたやすく生じさせることはありません



また、静止画の送信なのでカメラからサーバまでのネットワークの利用量が小さいので有料の 3G ネットワークでも月々1000円以下の通信費に収めることが可能で、海外に設置する場合でも安価な国際データSIM を利用することで 10$以下の通信費に抑えることが可能です

サーバは無料で利用できるものを利用します
例えば一定時間間隔で撮影写真を twitter に上げることで畜舎や禽舎の監視を行う事がかなり前から行われており、自分以外でも自由に見れてしまう事に問題がない(むしろ宣伝になってよい)場合には今でも利用されています
本稿では、パスワードで管理した自分のアカウントで常に最新の状況を表示してくれる無料の見守りサービス MONITOR™ を利用します

MONITOR™を利用した遠隔監視

1. MONITOR™のアカウントの取得

ブラウザーから MONITOR サービスに接続すると、このようなメールアドレスを入力する画面になります



メールアドレスを入力して NEXT ボタンをクリックすると、そのアドレスでアカウントをつくるためのパスワード等の入力画面になります


SAVE を実行すると、登録したアドレスに確認のメールが来るので、メール本文のリンクをクリックしてアカウントを確認します
詳細はこちらにありますので必要にあわせてご参照ください

アカウントを取得すると、以下のような空白の画面になります


ここで表示されている "view_id" は次章で述べる Raspberry Pi 側の設定での、撮影画像の送信先になります

2. Raspberry Pi の準備

ネットワークに接続できる Raspberry Pi にウエブカムを接続します
ネットワークへの接続は有線や無線による LAN への接続でも、USB 3Gドングルを利用した3Gネットワークでもかまいません
こちらを参考にして無料のソフトウェア View をダウンロードして設定してください
この時に、先程取得した view_id を利用します

設定後は正常に写真が送信できるかテストして、問題がなければ自動起動の設定をおこなうと5分間隔で MONITOR™の画面が更新されるようになります

ご質問、ご依頼等

なにかわからないことなどありましたらお気軽にこちらまでご相談いただければ幸いです
デモ等のご依頼、デモ機の御提供、海外利用を含めた設定済機器の提供なども柔軟にご対応いたしますので、ご遠慮なくご相談いただければ幸いです

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